ADHD(注意欠如・多動症)
片付けの苦手さで
このような困りごとの背景には、ADHD(注意欠如・多動症)の特性が関係している場合があります。
ADHDは、子どもだけにみられるものではありません。子どもの頃からあった特性が成人期まで続き、就職や転職、結婚、子育てなど、生活環境の変化をきっかけに困りごとが目立つことがあります。
メンタルヘルスかごしま中央クリニックでは、現在のお困りごとだけでなく、これまでの生活歴や子どもの頃の様子、仕事・学校・家庭での状況などを丁寧に確認し、一人ひとりに適した治療や対処方法を一緒に考えます。
ADHD(注意欠如・多動症)とは
ADHDは、発達障害(神経発達症)の一つです。
主に「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性がみられます。特性の現れ方や程度には個人差があり、年齢や生活環境によっても困りごとは異なります。
誰にでも忘れ物や集中できないことはあります。ADHDでは、その状態が長く続き、学校、仕事、家庭生活、人間関係など複数の場面で支障を生じていることが診断を考えるうえで重要になります。
本人の努力不足や性格の問題だけで起こるものではありません。
ADHDの主な特徴
不注意
- 必要なものを忘れたり、なくしたりする
- ケアレスミスを繰り返す
- 話を聞き続けることが難しい
- 単調な作業に集中しにくい
- 物事を順序立てて進めることが苦手
- 締め切りや約束を忘れてしまう
- 片付けや書類の管理が苦手
- 興味のあることに集中しすぎて、ほかの予定を忘れる
多動性
- 長時間座っていることが苦痛に感じられる
- 手足を動かしたり、そわそわしたりする
- 静かに過ごすことが難しい
- 一度に多くの予定を入れてしまう
- 常に何かをしていないと落ち着かない
- 頭の中で次々と考えが浮かぶ
成人では、目立って動き回るというよりも、「内面的な落ち着かなさ」や「ゆっくり休めない」といった形で現れることがあります。
衝動性
- 相手の話が終わる前に答えてしまう
- 会話に割り込んでしまう
- 待つことが苦手
- よく考える前に行動する
- 衝動買いをしてしまう
- 感情的な言動を後悔することがある
すべての特徴が同じように現れるわけではありません。不注意が中心の方、多動性・衝動性が目立つ方、両方の特徴をもつ方がいます。
大人のADHDでみられやすい困りごと
子どもの頃は周囲の支援によって大きな問題にならなかった方でも、成人後に自分で管理することが増えると、困りごとが表面化する場合があります。
仕事での困りごと
- 予定や締め切りの管理が難しい
- 指示を聞き漏らしてしまう
- 書類の誤字や入力ミスが多い
- 優先順位を決められない
- 複数の仕事を抱えて混乱する
- 遅刻や忘れ物を繰り返す
- 単調な仕事に集中できない
- 転職を繰り返してしまう
家庭生活での困りごと
- 部屋や机の上を片付けられない
- 家事を計画的に進められない
- 支払いや行政手続きを忘れてしまう
- 家族との約束を忘れる
- 時間や金銭の管理が難しい
- 衝動的な言動で家族と衝突する
学校生活での困りごと
- 授業や講義に集中できない
- 課題の提出期限を守れない
- 試験勉強の計画を立てられない
- 教科書や提出物を忘れる
- 興味のない科目に取り組めない
こうした失敗が続くと、「自分は怠けている」「何をしてもうまくいかない」と自信を失い、うつ状態や不安を伴うこともあります。
ADHDの原因
ADHDは、本人の育てられ方や努力不足だけが原因で生じるものではありません。
詳しい原因はまだ完全には解明されていませんが、脳機能の発達や情報処理の特性に、遺伝的要因や環境的要因などが複雑に関係すると考えられています。
保護者のしつけや本人の性格だけに原因を求めることは適切ではありません。
ADHDの診断について
ADHDの診断は、一つの心理検査や質問票だけで確定するものではありません。
医師が診察を行い、次のような情報を総合的に確認します。
- 現在困っている症状
- 症状が現れ始めた時期
- 子どもの頃の家庭や学校での様子
- 仕事、学校、家庭で生じている支障
- 家族や周囲の方からみた様子
- これまでの病歴や治療歴
- 睡眠や生活習慣
- 服用している薬
- ほかの精神疾患や身体疾患の可能性
子どもの頃の通知表、母子手帳、作文などが参考になる場合もあります。お手元にない場合でも、診察を受けられないわけではありません。
ADHDの検査
診察の内容に応じて、ADHDの傾向を確認する質問票や心理検査をご案内することがあります。
心理検査では、単にADHDの有無を判定するのではなく、得意なこと・苦手なこと、情報の受け取り方、注意や作業の特徴などを把握し、生活上の工夫を考える手がかりとします。
ただし、検査結果だけでADHDと診断することはできません。問診、生活歴、現在の困りごとなどを含め、医師が総合的に判断します。
検査の種類や実施の必要性は、診察後に医師または心理職からご説明します。予約状況によっては、検査までお待ちいただく場合があります。
ADHDと区別が必要な状態
集中力の低下、忘れっぽさ、落ち着かなさなどは、ADHD以外でもみられることがあります。
例えば、次のような状態との区別が必要です。
- 双極性障害
- 適応障害
- 不安症
- 自閉スペクトラム症
- 睡眠不足や睡眠障害
- アルコールや薬物の影響
- 甲状腺疾患などの身体疾患
- 薬の副作用
ADHDとほかの疾患が併存しているケースもあります。自己判断だけで結論を出さず、専門医による診察を受けることが大切です。
ADHDの治療
ADHDの治療では、特性そのものを完全になくすことではなく、日常生活での困りごとを減らし、ご本人が力を発揮しやすい環境を整えることを目指します。
治療方法は、症状や生活環境、併存する疾患などに応じて検討します。
特性への理解と心理教育
まずは、自分の特性と困りごとを整理します。
「どのような場面でミスが増えるのか」「どのような方法なら取り組みやすいのか」を把握することで、自分に合った対処法を考えやすくなります。
生活環境の調整
注意をそらすものを減らしたり、指示や予定を見える形にしたりすることで、負担を軽くできる場合があります。
- 予定を一つのカレンダーにまとめる
- スマートフォンの通知を活用する
- 作業を小さな手順に分ける
- 机の上に必要なものだけを置く
- 持ち物の定位置を決める
- 口頭の指示をメモや文章でもらう
- 複数の仕事を同時に抱えすぎない
心理的な支援・カウンセリング
必要に応じて、時間管理、感情のコントロール、対人関係、自己評価などについて一緒に整理します。
失敗経験によって自信を失っている場合や、うつ・不安などを伴っている場合には、心理的な支援も大切です。
※心理カウンセリングは自費診療です。実施については診察時にご相談ください。
薬物療法
症状や生活への影響に応じて、薬物療法を検討することがあります。<>br
薬には、不注意や多動性・衝動性などの症状を軽減し、日常生活上の工夫を実践しやすくする効果が期待されます。一方で、効果や副作用には個人差があります。
医師が体調や生活状況を確認しながら、薬の必要性を慎重に判断します。薬物療法を希望されない場合も含め、治療方針について相談しながら進めます。
仕事や学校でできる工夫
ADHDの特性による困りごとは、本人の努力だけでなく、周囲の環境を調整することで軽減できる場合があります。
- 指示は短く、具体的に伝えてもらう
- 重要な指示は文章やメールでもらう
- 優先順位と期限を明確にする
- 大きな課題を小さな作業に分ける
- 静かで刺激の少ない場所を利用する
- 定期的に進捗を確認する
- チェックリストを使用する
- 集中時間と休憩時間をあらかじめ決める
必要な配慮は一人ひとり異なります。診察では、実際の仕事内容や学校生活に合わせて、取り入れやすい方法を検討します。
ADHDの特性と上手に付き合うために
ADHDの特性は、困りごととして現れる一方、環境や仕事内容によっては、行動力、好奇心、発想力などにつながる場合もあります。
大切なのは、不得意なことを無理に克服し続けることだけではありません。自分の得意・不得意を知り、道具や周囲の支援を活用して、生活しやすい方法を見つけていくことです。
ご家族や周囲の方へ
ADHDによるミスや忘れ物は、本人が気をつけていても繰り返されることがあります。
「なぜできないのか」と責めるだけでは、ご本人の自信が低下し、症状や人間関係が悪化することがあります。
曖昧な表現を避け、してほしいことを短く具体的に伝えることが大切です。できなかったことだけでなく、できたことや工夫できた点を伝えることも支援につながります。
よくあるご質問
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ADHDは子どもの頃からみられる発達上の特性です。ただし、周囲の支援が少なくなったり、仕事や家庭で求められることが増えたりして、成人後に初めて困りごとが目立つケースがあります。
診断では、現在の症状だけでなく、子どもの頃から同様の特徴があったかを確認します。 -
忘れ物やミスは、疲労、睡眠不足、ストレス、うつ状態などでも起こります。忘れ物が多いという一点だけでは、ADHDとは判断できません。
症状が続いている期間や、生活への影響などを総合的に確認する必要があります。 -
心理検査は、認知的な特徴や得意・不得意を把握するための補助的な方法です。検査結果だけでADHDと診断することはできません。医師による診察や生活歴の確認が必要です。
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ADHDの治療方法は薬だけではありません。生活環境の調整、スケジュール管理の工夫、心理的支援なども重要です。症状やご希望に応じて治療方針を検討します。
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受診方法やご家族からの情報提供については、事前に当院へお問い合わせください。診断や治療を進めるためには、原則としてご本人の診察が必要です。
ADHDかもしれないとお悩みの方へ
忘れ物やミスが多い、仕事や家事が思うように進まないといった問題は、ご本人の努力不足だけが原因とは限りません。
ADHDの特性を正しく理解し、自分に合った方法や環境を見つけることで、日常生活の負担を軽減できる可能性があります。
また、実際にはうつ病、不安症、睡眠障害など、別の病気が影響している場合もあります。一人で判断せず、生活や仕事への支障が続いているときはご相談ください。
メンタルヘルスかごしま中央クリニックは、鹿児島市・天文館通電停近くの心療内科・精神科です。お話を丁寧に伺い、必要な検査や治療、生活上の対策をご提案します。
当院は予約制です。受診を希望される方は、事前にお電話でご予約ください。
ご予約・お問い合わせ
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