不安障害(不安神経症)
不安は、
以前は「不安神経症」と呼ばれることもあり、現在でも広く検索されている言葉ですが、医療現場では症状の特徴に応じて、全般不安症、パニック症、社交不安症などの診断名が用いられます。
メンタルヘルスかごしま中央クリニックでは、不安の内容や身体症状、生活背景などを丁寧に確認し、一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案します。
不安障害(不安症)とは
不安障害とは、不安や恐怖が過度に強くなり、自分でコントロールすることが難しく、日常生活に支障を及ぼしている状態の総称です。
不安が強くなると、気持ちの問題だけでなく、動悸、息苦しさ、発汗、めまい、吐き気、頭痛、腹痛など、さまざまな身体症状が現れることがあります。
症状の感じ方には個人差があり、不安よりも身体症状を強く自覚する方もいます。そのため、内科や循環器内科などで検査を受けた後に、心療内科や精神科の受診を勧められることもあります。
不安障害の主な症状
精神的な症状
- 漠然とした不安が続く
- 心配事が頭から離れない
- 悪い出来事が起こるように感じる
- ささいなことでも深刻に考えてしまう
- 緊張が続き、気持ちを休められない
- 集中できない
- 落ち着かない
- いらいらしやすい
- 不安を感じる場所や状況を避ける
- 「また症状が出るのではないか」と心配になる
身体的な症状
- 動悸、脈が速くなる
- 息苦しさ、窒息するような感覚
- 胸の痛みや圧迫感
- めまい、ふらつき
- 発汗
- 手足や身体の震え
- 吐き気、胃の不快感
- 腹痛、下痢
- 頭痛
- 肩こり、筋肉の緊張
- 手足のしびれ
- のぼせ、寒気
- 口の渇き
- 疲れやすさ
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める
身体症状がある場合は、精神的な問題だと決めつけず、必要に応じて身体疾患の有無を確認することも大切です。
不安障害の主な種類
不安障害には、症状や不安を感じる対象によって、いくつかの種類があります。
全般不安症(全般性不安障害)
仕事、健康、家族、お金、将来など、さまざまなことを必要以上に心配し、その不安を自分で抑えることが難しい状態です。
一つの問題が解決しても、すぐに別の心配事が浮かび、不安や緊張が長く続きます。
- いつも何かを心配している
- 最悪の結果を考えてしまう
- 家族から「心配しすぎ」と言われる
- 緊張によって肩こりや頭痛が続く
- 心配で眠れない
- 不安で仕事や家事に集中できない
本人は不安が強いことを自覚していても、考えることをやめられず、心身ともに疲弊してしまうことがあります。
パニック症(パニック障害)
突然、激しい不安とともに、動悸、息苦しさ、めまい、発汗、震えなどが現れる「パニック発作」を繰り返す状態です。
発作の際には、「このまま死んでしまうのではないか」「意識を失うのではないか」と感じるほどの恐怖を伴うことがあります。
発作を経験した後に、「また発作が起きるのではないか」という予期不安が続き、電車、バス、人混み、会議、外出などを避けるようになる場合もあります。
社交不安症(社交不安障害)
人前で話す、会食する、電話に出る、初対面の人と会話するなど、他人から注目されたり評価されたりする場面に強い不安を感じる状態です。
- 人前で声や手が震える
- 顔が赤くなることを恐れる
- 視線が気になる
- 会議や発表を避ける
- 人前で文字を書くことができない
- 電話や会食に強い緊張を感じる
- 失敗して笑われるのではないかと考える
単なる人見知りや緊張とは異なり、不安のために仕事や学校生活、対人関係に支障が生じます。
広場恐怖症
「すぐに逃げられない」「具合が悪くなっても助けを得られない」と感じる場所や状況に、強い不安を抱く状態です。
不安を感じやすい場所には、次のようなものがあります。
- 電車やバスなどの公共交通機関
- 人混みや行列
- 映画館や美容室
- 高速道路や渋滞
- 橋やトンネル
- 広い場所や閉ざされた場所
- 一人での外出
- 自宅に一人でいること
不安を避けるために外出できなくなったり、家族の付き添いが必要になったりする場合があります。
限局性恐怖症
高所、閉所、飛行機、雷、動物、血液、注射など、特定の対象や状況に対して強い恐怖を感じる状態です。
恐怖の対象が実際には大きな危険ではないと分かっていても、強い不安が生じ、その対象を避けることで生活に支障を来すことがあります。
「不安神経症」と不安障害の違い
「不安神経症」は、以前から使用されてきた呼び方です。現在は、不安の内容や症状の現れ方に応じて、全般不安症、パニック症、社交不安症などに分けて診断することが一般的です。
そのため、「不安神経症と言われたことがある」という方も、現在の診断基準では、症状に応じた別の診断名が用いられることがあります。
呼び方が違っても、強い不安や身体症状によって生活に支障がある場合は、治療や支援の対象となります。
不安障害の原因
不安障害の原因は一つではありません。
次のような要因が複雑に関係して発症すると考えられています。
- 不安を感じやすい気質
- ストレスへの反応
- 脳内の神経伝達機能
- 過去のつらい経験
- 仕事や家庭での環境変化
- 人間関係の問題
- 過労や睡眠不足
- 身体疾患
- アルコールやカフェインなどの影響
まじめで責任感が強く、心配事を一人で抱え込みやすい方が、限界まで無理を続けた後に症状を自覚することもあります。
本人の性格の弱さや気持ちの持ち方だけが原因ではありません。
不安が続くことで起こる悪循環
不安が強いと、不安を感じる場所や行動を避けるようになります。
避けることで一時的には安心できますが、「やはり危険だったから避けてよかった」という考えが強まり、次に同じ状況へ向き合うことがさらに難しくなる場合があります。
また、動悸や息苦しさなどの身体感覚を「重大な病気の兆候かもしれない」と捉えることで、恐怖が強くなり、さらに動悸や呼吸の乱れが増すこともあります。
治療では、このような不安の悪循環を整理し、無理のない範囲で対処方法を身につけていきます。
不安障害の診断・検査
不安障害は、一つの検査だけで診断するものではありません。
診察では、主に次のような内容を確認します。
- どのような不安を感じているか
- 症状が始まった時期やきっかけ
- 症状が現れる場所や状況
- 動悸や息苦しさなどの身体症状
- 仕事、学校、家庭生活への影響
- 不安を避けるために行っていること
- 睡眠や食欲の状態
- 服用している薬
- カフェインやアルコールの摂取状況
- これまでの病歴や治療歴
- うつ病など、ほかの精神疾患の可能性
必要に応じて、心理状態やストレスへの反応を確認する質問紙・心理検査をご案内することがあります。
心理検査は、現在の状態を整理し、診断や治療方針を考えるための補助として使用します。検査結果だけで不安障害と診断するものではありません。
身体疾患との区別も大切です
動悸、息苦しさ、胸痛、めまい、発汗、手の震えなどは、不安障害以外の病気でも起こることがあります。
例えば、次のような状態との区別が必要です。
- 心臓や呼吸器の疾患
- 甲状腺機能の異常
- 貧血
- 低血糖
- 更年期に伴う症状
- 薬の副作用
- カフェインやアルコールの影響
- 睡眠不足
突然の強い胸痛、意識を失う、これまでにない激しい息苦しさなどがある場合は、不安障害と自己判断せず、救急医療を含めた身体的な診察を受けてください。
不安障害と併存しやすい状態
不安障害は、ほかの精神疾患と同時にみられることがあります。
- うつ病
- 適応障害
- 双極性障害
- ADHDやASDなどの発達特性
- 不眠症
- アルコールなどへの依存
- 強迫症
- PTSD(心的外傷後ストレス症)
現在もっとも困っている症状だけでなく、背景にある病気や生活上の問題も含めて評価することが大切です。
不安障害の治療
不安障害の治療には、薬物療法、精神療法・カウンセリング、生活環境の調整などがあります。
症状の種類や程度、生活状況、ご本人の希望を確認しながら、必要な治療を検討します。
薬物療法
不安障害の治療では、症状に応じて抗うつ薬や抗不安薬などを使用することがあります。不眠が強い場合は、睡眠を整えるための薬を検討することもあります。
薬の効果や副作用には個人差があります。症状の変化を確認しながら、種類や量を慎重に調整します。
抗不安薬の一部には、長期間の連用によって依存や離脱症状が生じる可能性があります。自己判断で薬を増減したり、急に中止したりせず、医師の指示に従って服用してください。
認知行動療法的な支援
認知行動療法は、不安が生じるときの考え方、身体反応、行動の関係を整理し、不安への対処方法を身につけていく治療法です。
例えば、次のような取り組みを行います。
- 不安を強める考え方の傾向に気づく
- 状況を別の視点から捉える
- 身体症状への理解を深める
- 不安を避ける行動を整理する
- 苦手な状況に段階的に取り組む
- 呼吸や緊張への対処方法を身につける
- 再発を防ぐための対策を考える
不安を感じる状況へ無理に向き合わせるものではありません。症状や体調を確認しながら、段階的に進めることが大切です。
治療内容や実施方法については、診察時にご相談ください。
心理カウンセリング
不安の背景にあるストレス、人間関係、仕事上の問題、考え方の傾向などを心理職と一緒に整理します。
自分の不安を言葉にすることが難しい方や、同じ悩みを繰り返している方にとって、問題を整理する機会になります。
※心理カウンセリングは自費診療です。実施については診察時にご相談ください。
生活習慣の見直し
生活リズムの乱れや睡眠不足、過剰なカフェイン・アルコールは、不安や動悸を強めることがあります。
- 起床時間をできるだけ一定にする
- 十分な睡眠時間を確保する
- カフェインを取りすぎない
- 不安を紛らわせるための飲酒を避ける
- 軽い運動や散歩を取り入れる
- 疲れているときは休息を優先する
- 症状や服薬について記録する
生活習慣の改善だけですべての症状が解消するとは限りません。治療の一部として、無理なく取り入れることが大切です。
不安が強いときの対処方法
不安が急に強くなったときは、次のような方法が役立つ場合があります。
- 安全な場所で座る
- きつい衣服を緩める
- 息を無理に大きく吸い込まず、ゆっくり吐く
- 足の裏が床に触れている感覚を意識する
- 見えるものや聞こえる音を一つずつ確認する
- 「不安による反応は、時間とともに落ち着く」と考える
- 信頼できる人へ連絡する
症状が治まらない場合や、普段とは異なる強い胸痛・呼吸困難などがある場合は、医療機関を受診してください。
受診を検討する目安
次のような状態がみられる場合は、心療内科や精神科への相談をご検討ください。
- 不安や緊張が長く続いている
- 不安で仕事や学校を休むことが増えた
- 電車や人混みなどを避けている
- 動悸や息苦しさを繰り返している
- 眠れない状態が続いている
- 家事や育児に支障が出ている
- 不安を抑えるために飲酒量が増えた
- 内科などで検査を受けても、症状の原因が分からない
- 不安とともに気分の落ち込みがある
- 自分だけでは対処できないと感じる
症状が重くなってからでなければ受診できないわけではありません。「この程度で相談してよいのか」と迷う段階でもご相談ください。
ご家族や周囲の方へ
強い不安を感じている方に対して、「考えすぎ」「気にしなければよい」と伝えても、不安を自分の意思だけで抑えることは難しいものです。
まずは本人のつらさを否定せず、話を聞くことが大切です。
一方で、本人の不安を減らすために周囲がすべてのことを代わりに行うと、避ける行動が強まり、長期的には回復を妨げることがあります。
どのように支えるべきか迷う場合は、医師や心理職へご相談ください。
よくあるご質問
-
不安によって眠れない、仕事に集中できない、外出を避けるなど、生活への影響が生じている場合はご相談ください。
症状が不安障害によるものか、身体疾患やほかの精神疾患が関係しているかを含めて確認します。 -
不安障害やパニック症によって現れることがあります。ただし、心臓や呼吸器、甲状腺などの病気でも同様の症状がみられます。
初めて症状が現れた場合や、強い胸痛などがある場合は、身体疾患の有無を確認することが大切です。 -
治療方法は薬だけではありません。症状に応じて、心理的な支援、生活環境の調整、認知行動療法的な取り組みなどを組み合わせます。
症状の程度やご希望を確認しながら治療方針を検討します。 -
抗不安薬の種類や使用期間によっては、依存や離脱症状に注意が必要です。そのため、医師が必要性を判断し、適切な量と期間を検討します。
自己判断による増量や急な中止は避け、心配なことがあれば医師へご相談ください。 -
適切な治療や生活上の工夫によって、症状が軽減し、仕事や日常生活を取り戻せる可能性があります。
回復の経過には個人差があります。症状が一時的に強くなることもあるため、焦らず継続して治療に取り組むことが大切です。
一人で不安を抱え込まずにご相談ください
不安障害は、周囲から症状が見えにくく、「考えすぎ」「気持ちの問題」と誤解されることがあります。
しかし、強い不安や動悸、息苦しさなどは、ご本人にとって大きな苦痛となります。不安を避ける生活が続く前に、適切な診断と治療を受けることが大切です。
メンタルヘルスかごしま中央クリニックは、鹿児島市・天文館通電停近くの心療内科・精神科です。不安の内容や身体症状、生活背景を丁寧に伺い、診察、心理検査、心理的な支援、薬物療法などから、一人ひとりに合った治療を検討します。
当院は予約制です。受診を希望される方は、事前にお電話でご予約ください。
- ご予約・お問い合わせ先
- 医療法人鑑朗会
メンタルヘルスかごしま中央クリニック - 電話番号
- 099-223-7700 完全予約制
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※掲載内容は一般的な医学情報であり、個別の診断を行うものではありません。症状の診断や治療については医師へご相談ください。